1992年 PCエンジン Super CD-ROM2用ソフトとして発売された伝説のRPGである。 企画原案には「あの」広井王子、監督・脚本に桝田省治、 そして重要シーンの一部音楽に久石譲という超大物たちを迎えた途方も無い企画として作られたソフトだ。 PCエンジンとCD-ROMのスペックを最大限に生かし、 しゃべるは動くは当時のスーファミだった頃の水準からすればまさに「モンスター」であったことは間違いない。 「国」を移動しつつ「聖剣」を集め「暗黒蘭」を斬るという基本ストーリーは膨大で、 説明書によると平均プレイ時間は70時間以上とうたわれている。 これは冗談でも大げさでもなく、実際子供が迷い考えながらやっているそれくらいかかるから驚きである。 しかもそれは、ダンジョンやフィールドが長かったり、 やたら面倒くさいイベントで長時間とらされるせいでやたら時間がかかるだけのそこいらのRPGとは全く違う。 普通RPGはいくつか町があり、イベントがありダンジョンがありボスを倒す・・・ という短い手順を繰り返すものである。 天外魔境Uの基本の大きなイベントは「8本の暗黒蘭を斬る」というものなのだが、 一本の暗黒蘭を切るために、いくつモノ国を回り、いくつもの町を巡り、 その一つ一つに複数のイベントがあっていくつものダンジョンやボスがいるのである。 その矢継ぎ早に起こるイベント量は半端ではなく、いまだにこれ以上のボリュームのあるゲームを見たことが無い。 (それがサブイベントやおまけ要素ではなく、全て本編だというのだから驚きだ) 息つく暇も無いとはこのことである。 また、乗り物を取ったら一気に行動範囲が広がるようなゲームとは違い、 その場その場にあわせた様々な(馬鹿な)乗り物が登場するのもこのゲームの特徴だ。 しかも乗り物に乗ってる間は敵を踏み潰したり、砲台が使えたりと戦闘でも色々遊べたりするから恐ろしい。 このゲームをやると「普通そこまでやらねぇだろ!!」と誰もが言いたくなることは間違いない。 RPGとしてのゲームバランスも素晴らしく、雑魚もボスも適度に歯ごたえがある。 無理して先に進むと雑魚に滅殺されるし、しっかりと修行をして考えて戦わないとボスには歯が立たない。 特に最後のボスはまさにラスボスに相応しい強さで、攻略法を考え出すまでいったいなんど泣きをみたことか(笑) また、天外魔境を語る上で外せないのが、その魅力的なキャラクター達である。 なんといっても広井王子が企画なのだ。 出てくる奴らはみんな濃いやつらばかりである。 主人公の「戦国卍丸」はやたら熱い奴だし、 「カブキ団十郎」は主人公をほっといて目立ちまくり後に主人公の座を獲得して「天外魔境 風雲カブキ伝」を出させるほどだ。 1024年生きているが、そのうち実に996年牢の中にいたという「極楽太郎」 心優しく自らを縛り敵に直接攻撃を出来ないが、 後にとんでもない秘密を秘めていることが分かる「絹」といったパーティーたちを始め、 「百々地三太夫」という卍丸たちを慕うくノ一姉妹。 天外魔境シリーズ最強!?ともいわれ、アメリカだろうがロンドンだろうが出張してくる「足下兄弟」や 「馬鹿の術(うましかのじゅつ)」を持ちて歴代主人公たちに襲い来る「マントー」 他にもまだまだキャラクターがいるのだが、ぶっちゃけ数が多すぎてとてもじゃないがあげきれない。 それらのキャラが有名声優の演技でしゃべりまくるのである。 みんなうまい人たちばかりなので、ますます盛り上がって世界に深みを出している。 また天外魔境において欠かせないのがアニメと音楽である。 オープニングムービーを始めとしていたるところに挿入されるアニメは、明らかにCD-ROMの容量を超えてるように感じてしまう(笑) そして、そのムービーシーンの音楽は、宮崎駿映画で有名な久石譲が担当しているのだ。 ゲームの音楽はなれていないためか、戦闘などの音楽は微妙に合ってなかったりするのだが、 アニメシーンの音楽は流石の一言で、盛り上がることは間違いない。 そして特筆すべきは「フィールド」の音楽である。 あの風情あふれ暖かく壮大な音楽は、まさに久石氏にしか書けないもので、 この曲こそが天外魔境Uの全てを表現しているといっても過言ではない。 町からフィールドへ出た瞬間の衝撃を、是非体験して欲しい。 ちなみにこのゲーム、実は作曲家は二人いてもう一人は福田裕彦氏である。 久石氏の曲はストリーム再生。 福田氏の曲は内蔵音源になっていて、ほとんどの曲は福田氏が担当している。 強烈なノリと世界観を持つ、恐ろしい「密度」を持ったRPG・・・ それがこの「天外魔境U 卍丸」なのである。 直球ど真ん中ストレートの王道RPGが好きな方は、是非やってみることをお勧めする。 この天外魔境U。 長らく「移植やリメイクは不可能」と言われていたのだが、近年ついにリメイク&移植された。 PS2とDSである。 が・・・・・・・・・PS2のリメイクものは正直言ってもとのソフトよりかなり面白くなくなっている。 DS版はやったことがないのだが、基本的に移植らしいのでこっちをやった方がいいかもしれない。 だが出来るなら、やはりPCエンジン版を強くお勧めしたい。 |